松竹(9601)、2026年2月期はV字回復!しかし来期は大幅減益予想、株価への影響は?

  • 本記事の情報は2026年04月16日時点のものです。情報の正確性・完全性は保証しません。
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松竹(9601)が発表した2026年2月期第4四半期決算は、前年の大幅な赤字からV字回復を遂げ、僕も驚くほど力強い内容でした。しかし、同時に発表された2027年2月期の業績予想は大幅な減益となる見通しで、このギャップが今後の株価にどう影響するか、注意深く見ていく必要があります。

目次

📊 決算ハイライト:2026年2月期はV字回復、しかし来期は大幅減益予想

まずは、松竹の2026年2月期の実績と、2027年2月期の会社予想を比較して見ていきましょう。

項目(連結) 2025年2月期
実績 (百万円)
2026年2月期
実績 (百万円)
対前期増減率 2027年2月期
予想 (百万円)
対今期増減率
売上高 83,974 98,249 +17.0% 100,000 +1.8%
営業利益 1,664 6,173 +270.9% 3,700 ▲40.1%
経常利益 ▲2,500 6,345 3,500 ▲44.8%
親会社株主に帰属する当期純利益 ▲664 5,236 2,200 ▲58.0%
1株当たり当期純利益 (円) 381.02 160.07 ▲58.0%

2026年2月期は売上高が前期比+17.0%増の982億49百万円、営業利益が同+270.9%増の61億73百万円と、各利益項目で大幅な増益を達成し、赤字から黒字へV字回復しました。映画や演劇など、主力のエンタメ事業がコロナ禍からの回復で力強さを見せています。

一方で、2027年2月期の会社予想は、売上高は微増の1,000億円を目指すものの、営業利益は前期比▲40.1%減の37億円、親会社株主に帰属する当期純利益も同▲58.0%減の22億円と、大幅な減益を見込んでいます。この大きな減益幅の理由を、セグメント別の動向や特別損益の面から詳しく見ていきましょう。

🚀 セグメント別動向・主要な増減要因(2026年2月期実績)

2026年2月期の好業績を牽引したのは、やはり主力の映像関連事業と演劇事業でした。

  • 🎬 映像関連事業:売上・利益ともに大幅増

    売上高は529億49百万円(前期比+21.1%増)、営業利益は25億19百万円(同+479.1%増)と、事業全体の収益を大きく押し上げました。

    • 劇場運営:映画業界の年間興行収入が過去最高を更新する活況の中で、松竹マルチプレックスシアターズも好調を維持。新設の「MOVIX広島駅」も堅調に推移しました。
    • 映画配給:邦画、洋画、アニメ、シネマ歌舞伎など多様な作品を公開し、「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX」「TOKYOタクシー」「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」などがヒットを記録しました。
    • 映像版権許諾:Amazon Prime Videoでの独占配信などが収益に貢献。
    • 有料放送・その他:CATVでの販路拡大や、DVD・BD販売も好調でした。
  • 🎭 演劇事業:黒字転換で大幅な利益貢献

    売上高は272億75百万円(前期比+14.6%増)、営業利益は前期の▲11億82百万円の赤字から17億23百万円の黒字に転換しました。

    • 劇場運営:歌舞伎座創業130周年記念公演や八代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助の襲名披露公演が好評を博し、新橋演舞場や大阪松竹座、南座の公演も盛況でした。
    • シネマ歌舞伎:20周年を迎え、新作「源氏物語」の公開も好成績を収めました。
    • その他の公演:ミュージカル「ビートルジュース」や巡業「第三十八回四国こんぴら歌舞伎大芝居」なども好評でした。
  • 🏢 不動産事業:売上は堅調も利益は微減

    売上高は146億18百万円(前期比+4.8%増)と堅調に伸びたものの、営業利益は51億52百万円(同▲11.3%減)と微減となりました。

    • 不動産賃貸:歌舞伎座タワーなどの主要物件で高い稼働率を維持し、戦略的なリーシングや賃料改定で収益最大化に努めました。
    • まちづくり:東銀座エリアマネジメント活動を通じたエリア価値向上にも貢献しました。

    堅実な収益基盤であることは変わりませんが、賃貸物件の特性上、急激な利益成長は望みにくいでしょう。

  • 💡 その他事業:黒字転換、新規分野が寄与

    売上高は34億5百万円(前期比+37.5%増)、営業利益は前期の▲2億34百万円の赤字から1億62百万円の黒字に転換しました。

    • プログラム・キャラクター商品:人気作品のEC販売やイベント物販が収益に貢献しました。
    • ゲーム事業:「MiSide-ミサイド-」「BrokenLore:」「進撃の巨人VR: Unbreakable」など国内外デベロッパーとの協業作品が好評。
    • オープンイノベーション:スタートアップ企業への出資やインキュベーションオフィス「EIGHT」の開設など、将来に向けた事業創出を進めています。

💰 財務状態とキャッシュフローの状況

決算説明資料からはキャッシュフローの詳細な記載はありませんでしたが、売上高・利益の大幅な改善は、営業キャッシュフローの改善に繋がる可能性が高いです。また、後述する特別損益の要因となる資産の売却や解体工事は、長期的な財務健全化や事業構造改革を見据えた動きと言えるでしょう。

📉 今期・来期の業績予想:大幅減益の背景を分析

2027年2月期の連結業績予想は、売上高こそ1,000億円と過去最高水準を維持する見込みですが、営業利益は37億円(前期比▲40.1%減)、純利益は22億円(同▲58.0%減)と大幅な減益予想となっています。

この大幅減益の背景には、いくつかの要因が考えられます。

  • 🚧 大阪松竹座ビル解体に伴う特別損失

    2027年2月期に、大阪松竹座ビルの解体工事に伴い、固定資産の減損損失24億円と劇場閉鎖損失引当金繰入額約20億円、合わせて約44億円の特別損失を計上する予定です。これは本業の収益(営業利益)には影響しませんが、経常利益や当期純利益を大きく押し下げる要因となります。

    ただし、同時に博多STビル譲渡による固定資産売却益として約45億円の特別利益も計上する予定であり、特別損益は全体としてほぼ相殺される見込みです。

  • 🎞️ 2026年2月期の高水準からの反動

    2026年2月期は、映画業界の年間興行収入が過去最高を更新する活況や、歌舞伎座の創業130周年記念公演、襲名披露公演といった大型イベントが重なり、エンタメ事業が非常に好調でした。2027年2月期は、これほどの大型イベントが継続するわけではないため、その反動で営業利益が減少すると会社側は見込んでいる可能性があります。営業利益の大幅減益予想は、本業の収益力が一過性のものだった可能性を示唆しているとも考えられます。

  • 💰 配当予想の修正と減配

    2026年2月期の期末配当は、普通配当30円に特別配当10円を加えた計40円に修正されました。しかし、2027年2月期の配当予想は30円と、減配が示唆されています。これは、来期の利益水準の低下を考慮したものでしょう。

✅ 良かった点

  • V字回復を遂げた力強い本業の回復:2026年2月期の実績は、エンタメ事業がコロナ禍から完全に回復し、市場の活況を捉えられたことを明確に示しています。特に映像関連事業、演劇事業の利益貢献は目覚ましいものでした。
  • 特別配当の実施:好調な業績を背景に、2026年2月期は特別配当10円を実施し、株主還元への意識を示しました。
  • 資産の有効活用と事業構造改革:大阪松竹座の建て替え(解体)と博多STビルの売却は、老朽化資産の見直しと収益性の高い資産への再配分、あるいは新たなエンタメ拠点の構築に向けた前向きな動きと捉えられます。
  • 新規事業の育成:ゲーム事業やオープンイノベーションなど、将来の柱となりうる新たな収益源の育成に注力している点は評価できます。

⚠️ 気になった点・リスク

  • 2027年2月期の大幅減益予想:2026年2月期の大幅な利益成長から一転、来期は4割以上の営業減益を見込んでいる点は懸念材料です。特に、特別損益の影響を除いても、本業の収益が大きく落ち込む見通しであることは注意が必要です。
  • 減配予想:来期の減益予想に伴い、配当も減額される見込みであり、インカムゲインを重視する投資家にとってはネガティブな要素です。
  • エンタメ事業の業績変動性:映画や演劇はヒット作の有無や観客動員数に大きく左右されるため、業績の変動が大きい傾向があります。2026年2月期が非常に好調だっただけに、その反動が懸念されます。
  • 不動産事業の利益減少:堅調な売上とは裏腹に、不動産事業の営業利益が減少している点も少し気になります。

📈 株価への影響分析

短期的な視点では、2026年2月期の大幅増益・黒字転換はポジティブなサプライズとなるでしょう。しかし、2027年2月期の大幅減益予想と減配見通しが同時に発表されたことで、市場はこれを織り込みに行く動きとなる可能性があります。特別損益の計上は一時的なものであり、かつ特別利益で相殺されるものの、本業の収益が大きく落ち込む予想であることはネガティブに受け止められるかもしれません。

中期的な視点では、大阪松竹座の建て替えによる新しい文化拠点の創出や、博多STビル売却による財務体質の強化、そして新規事業への投資が、将来の成長への期待材料となるかどうかが焦点です。ただし、新劇場建設や新規事業が具体的に収益に貢献するまでには時間がかかるため、当面はエンタメ事業の安定的な収益確保が重要視されるでしょう。

💡 まとめ

松竹の決算は、足元のエンタメ需要回復の力強さを再認識させてくれる内容でした。しかし、その反動と、事業構造改革に伴う一時的な業績の落ち込みをどう評価するかが、投資判断の大きな分かれ目になりそうです。

僕が投資判断の参考にするポイントは以下の通りです。

  • 2027年2月期の営業利益の大幅減益予想の背景が、単なる一過性の反動なのか、それとも本業に構造的な課題があるのかを見極めること。
  • 大阪松竹座の建て替えが、中長期的にどのような収益改善や企業価値向上に繋がるのか、具体的なロードマップや進捗に注目すること。
  • ゲーム事業やオープンイノベーションといった新規事業が、どれだけ既存事業に依存しない新たな収益の柱として育つのかを継続的にチェックすること。
  • エンタメ業界全体のトレンド(映画・演劇の興行収入推移、配信ビジネスの動向など)と、その中で松竹がどのような差別化戦略を打ち出すかに注目すること。

一見するとポジティブな決算ですが、来期予想を深掘りすると、慎重な見方が必要になるかもしれません。じっくりと分析し、自分なりの投資戦略を立てていきましょう。

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